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曲名は? [みちくさ]
みちくさ vol.44 No.4 (2018)
ANAの機内オーディオにクラシック音楽のプログラムがあり、しばらく以前にパーソナリティと番組テーマ曲が新しくなった。ところが、このテーマ曲が分からない。特に調べる気もなかったが、ずーっと引っかかっていた。六月、スペインに関係する曲目を選んだオーケストラのコンサートがあり、そこで、ラロのスペイン交響曲などと並んで、フランスの作曲家イベールによる組曲「寄港地」が演奏された。これはなかなか面白い曲で、ず...
保育士とふつうの母親 [虫めがね]
虫めがね vol.44 No.2 (2018)
筆者が勤務していた大学で保育士の資格を取り、卒業後、保育士として活躍している教え子が、久しぶりに子どもを連れて学校にやって来た。「先生、私の子どもです。一歳半になりました」学校の廊下を活発に走り回る元気な男児である。こまめにその子の世話をしている様子を見て、話しかけた。「あなたは保育士なので、子育ては専門家ですね」「わたしも、最初はそう思っていました。しかし、いざわが子を育ててみると全然違います」...
高温乾燥材と生物劣化 [みちくさ]
みちくさ vol.44 No.2 (2018)
前回の続き、「高温乾燥材」の「耐朽性」「耐蟻性」の件である。実は二〇一〇年頃、主に地方公設試の研究者による「安全・安心な乾燥材の生産・利用マニュアル」という資料が公開され、なかに「不適切な乾燥スケジュールによって生じた内部割れや熱劣化による強度低下のリスク」という表が示されている。この表は定性的な表現にとどまっており、その点では「隔靴掻痒」といった感があるのだが、それでも、通常の高温セット程度なら...
既往の文献を眺めると [みちくさ]
みちくさ vol.44 No.1 (2018)
現在、もう一誌、連載記事を受け持っており、原稿締め切りが本誌とほとんど同時、という巡り会わせが年に数回ある。実は今回がまさにその状態になり、しかも先ほどまで書いていた他誌の内容が「高温乾燥材」に関連することで、そこでは木材の耐朽性、耐蟻性についても触れてしまった。 これは要するに、本誌読者層の専門領域、そのものに関する内容である。そこで今回はそのような記事を書くに至った経緯を少し披歴しておこうと思...
「神宿る島」宗像・沖ノ島(その2) [虫めがね]
虫めがね vol.44 No.1 (2018)
わたしは、今は宗像に住んではいないが、子どもの頃の思い出を述べてみたい。 毎年十月一、二、三日は宗像大社で放生会と言うのが行われていた。これは、捕獲した鳥獣や魚を放し、殺生を戒める儀式である。また、秋の五穀豊穣に感謝する収穫祭の意味もある。当時、子どもであったわたしはそんなことは知る由もない。小学校がこの三日間休校になるのを喜び、毎日、宗像大社辺津宮に通った。辺津宮がある田島の地名を冠して「田島ほ...