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害虫退治に大奮闘の回-サンドフライ編2-

みちくさ vol.37 No.2 (2011)

37-2_michikusa.jpg準備万端でサンドフライを待ち構えようと思っていたのですが、夏前に数箇所一度に襲われるという予想外の事態が起こりました。確かに赤く膨れ上がり、非常に痒いです。個人差はあると思うのですが、抗炎症剤入りの痒み止めを塗っても、あまり腫れも痒みも引かないことが分かりました。現地の人に聞くと外国人の血が大好きらしいと、根拠はなさそうだけど何となく信じてしまうコメントが返ってきました。

いずれにしても、このままでは勝てないと悟り、ポイズンリムーバー(針のない注射器のような毒抜き)を購入して、刺されても大丈夫な体制に切り替える事にしました。ところが、いくら探しても売っていません。再び現地の人に聞くと、この国にはヘビがいないから必要ないので売っていないということでした。シロアリ、ゴキブリに加えて、ヘビがいないようです(クマもいないそうです)。売ってないなら仕方がないですが、あの痒みを思い出すと、手段を問うている場合ではないと思い、日本から取り寄せました。

そしてついに本格的な夏を迎えました。喉元過ぎればという訳ではないですが、科学の進歩に犠牲は付き物と自分に言い聞かせ、肌を出したまま庭をふらついてみました(かつてジェンナーは自分の子供で実験したようですが、私は科学的探究心と家族愛から自分で実験しました)。肌に微妙な感触を感じた後、痒みを徐々に感じ出しました。痒みのする付近を良く見てみると、黒くて小さな日本で言う生ゴミに集まるような羽虫がとまっています。潰さないように慎重につかまえてよく見てみると、確かにハエに良く似ています。しかし、ハエよりかなり小さいです。服を着ていても刺されると聞いたことがありますが、あまりに小さくて軽いので、風でひらひら舞って服の中にも偶然入ってきそうです。聞くところによると、一旦、皮膚に止まった後、吸い付くまで微妙な間があるようで、気をつけていればその間に殺すことも可能だとのことです。

急いでポイズンリムーバーで刺されたところを吸ってみましたが、刺された箇所から何ら毒汁らしきものが出てきたようには見えません。吸い出せているのか良く分からないけど、まあいいかと思い、痒み止めを上から塗っておきました。比較として、ポイズンリムーバーを使わずに痒み止めだけを塗った箇所も残しておきました。

翌日、ポイズンリムーバーを使用した箇所は使用していない箇所に比べて痒み、腫れ共に少ないように感じました。1週間ぐらいたつと、その差はより顕著になったような気がしました。毒液が吸いだされたのか、拡散が抑えられたのか、強く吸いすぎて痛みとかゆみが打ち消しあったのか、或いは、プラセボ的な気の持ちようのせいなのかはよく分かりません。

これまでの検証結果をまとめてみました。どうも日本人はサンドフライには痒み止めだけでは勝てないのではないかと思われました。何回も刺されたら免疫ができるらしいですが、そんな気長なことは普通の人にはとても無理なように思えます。予防するにはやはり虫除けがいいでしょう。ピレスロイド系の虫除けを試してみましたが、確かに今のところ刺されていません。これが偶然なのかどうかは更なる長期的な検証が必要でしょう。うっかりやられてしまった場合は、ポイズンリムーバーと痒み止めの併用が効果があるように思いました。これも更に検証が必要なように思います。より多くの被験者を確保するために、該当地域を訪れた時は、皆さんもぜひ試してみて下さい。

(世界の木窓から)

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