木材保存誌コラム

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まずはご挨拶から

みちくさ vol.40 No.5 (2014)

この四月、何十年かの研究者生活に一つの区切りがついた。これを機にこれまで入会していた学協会のうち、半ば義理で入っていたもの、とくに重要な情報が得られそうもないもの、などを選び、そこに「退会届」を出そうと考えた。

ところが「いざ」の段となると、各会の要職を務められている諸兄の顔が目の前にちらつく。どうにも踏ん切りがつかず、結局退会あるいは種別変更届けを出したのは、わずか二学会だけになってしまった。

本協会についても同様で、大いに迷っていた。そこに先手を打たれたような「会費請求書」が転送されてきた。そして、あとを追うように本コラムの執筆依頼が届く。鞭のあとの飴のようでもある。

というわけで、今回から読者諸兄に本誌を通じたお付き合いを願うことになってしまった。

ところで業界関係の雑誌のコラム欄といえば、かつて「木材工業」誌に掲載されていた「しろうさぎ」のことを思い起こす。これは一九五七年七月号からなんと二〇年以上、計二七〇回も連載されていた。読者の中でこれをご存知の方はほとんどいらっしゃらないのだろうと思うが、筆者なども毎回楽しみにしていたものであった。著者は元農林省林業試験場長の斎藤美鶯先生。

その二七〇回目、つまり最終回は八〇年三月号で、この号には小生執筆の総説が初めて木材工業誌に掲載されており、しかも「しろうさぎ」はこの余白の囲み記事になっていた。

ここで先生は、最初数回投稿した頃、『窓欄というものは、勉強して疲れたとき、フト窓を開けて頭を休めるように。「木材工業」のような硬い本の窓欄では、レクチュアはいけませんよ』と、先輩のM先生から諭され、以来、聞いた話と木材との係わりをちょっと最後に触れる程度に止めた、と述懐されておられる。

この「コラム」という言葉。「新聞や雑誌で、短い評論などを載せる欄、罫で囲まれることが多いからコラム(円柱形の柱)と呼ばれることになった」とある。そして事象に対してあくまで自分の考えで「こう思う」というスタンスで書く人がコラムニストなのだそうだ。

本誌編集委員長からは「内容は自由で、どんなことでも結構です」という、誠にありがたいお言葉を頂いているが、コラムの意味と美鶯先生の言わんとするところを肝に銘じながら書いていきたい。お付き合いのほど、よろしく。

(徒然亭)

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