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在来線の勧め

みちくさ vol.41 No.6 (2015)

来春、北海道にも新幹線が走る。もっとも、それは函館までであって、札幌延伸はあと十数年先のことらしい。途中に四駅ほど造る予定というが、その頃の沿線人口を考えると、人よりエゾシカの乗降数の方が多くなるのではないか、と思ったりもする。

鉄道に乗るのは好きである。しかし「乗るためだけにわざわざそこに行く」といった趣味はない。あくまで移動の手段としての鉄道なのである。ただ、そのとき新幹線が走っている区間であっても、とくに急ぎでもない限り、それはできるだけ使いたくない。

一番の理由は、「高速化」と「土地買収」のためにトンネルが極めて多いことで、とくに、山陽・九州・北陸では全体のほぼ半分にもなるそうだ。その点、在来線による「移動」はとても面白い。

以前、京都・名古屋間、静岡・品川間のそれぞれを東海道在来線の乗り継ぎで移動したことがある。いずれも、地形がよく分かり、「車窓」も十分に楽しむことができた。

つい先日、ひょんなことから、比較的近距離にある大分・熊本・山口の三つの県で、ほぼ一日おきに講演をすることになった。その空き日の地域間の移動を調べるため、久しぶりにJRの時刻表を買ってきた。

大分・熊本間はもちろん豊肥線。問題は熊本・山口間。眺めると、熊本・博多間の在来線は結構時間がかかりそうだ。それに門司港駅にも、というわけで、とりあえず小倉まで新幹線、あとは成り行き、という大まかな計画だけ立てて、事に臨んだ。

豊肥線の波野から宮地に向けて阿蘇外輪山に沿って下っていく路線は面白かった。中央線勝沼から甲府盆地、土讃線の香川県境から阿波池田方面、また大杉から高知平野への眺望と似ている。

宮地からは幸運にも「あそぼーい」の先頭パノラマ車両の最前席に乗ることができ、立野のスイッチバックなどを堪能した。これらは新幹線、それに高速道路では味わえない。

さて、門司港から山口までの在来線乗り継ぎを時刻表で調べようとした。これは結構楽しい作業になるはずであったが、小型版にしたため、活字がよく見えない。面倒くさいから、携帯の乗り換え案内で検索してしまった。

(徒然亭)

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