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初めての...

みちくさ vol.42 No.2 (2016)

北海道新幹線開業の1ヵ月前になり、その切符が販売された。新函館発の一番列車では25秒ほどで売り切れたそうだ。この「1号車1番A席」なんてのは、射止めた人にとっての「家宝」になるんだろうな、と思っていた。

ところが翌日の新聞に「ネットオークションに出品、定価の二割増しから二倍で売れる。グランクラスは十万円」とある。

筆者は前日から並んで、そうした切符をぜひ手に入れたい、というような趣味はない。ただ、ラストランが決まった「はまなす」や「カシオペア」も然りで、これらがすぐさまオークションに出されるとなると、「?」である。

その「初めての」とか「最後の」という謳い文句で宣伝されると、興味が引かれ、ついつい買ってしまう商品も多い。筆者の場合では「LP」あるいは「CD」がそれ。

「初めて」の方では、伝説の指揮者ニキシュとベルリン・フィルによるベートーヴェンの5番。一九一三年の録音で、国内で復刻LPが出たときの触れ込みは「初めて録音された…」とあり、これをすぐさま買った。その後調べてみると、「著名な指揮者としては」という条件付きだった。

これはアコースティック録音である。といっても何のことやらお分かりにならないかもしれない。当時はすでにマイクロフォンが発明されていたものの、それを記録する装置がお粗末だった。そこで、集音用ラッパに向かって演奏してダイヤフラムを振動させ、その振動を針に伝達して記録用媒体、つまりレコード用の原盤に溝を刻む、という方法だったのである。今、この録音はCD化され、音質は改善されているとのこと。

世界初の磁気テープレコーダーは一九二八年に出現している。この以前にピアノ線を用いた記録装置が開発されていたのだが、このとき樹脂を基材にした、いわゆる「テープ」を用いたものになった。この「電気吹き込み装置」を用いた録音が「SP盤」として世界に広がっていく。

SP盤は一八八七年にベルリナーが開発した円盤状の蓄音機用レコードの総称で、毎分七八回転、収録時間は片面最大5分程度。そのため録音はその収録時間に合わせ、何回かに分割して行われたという。材質はシェラックで、落とすと割れた。…この章、とりあえず「続く」、ですかね。

(徒然亭)

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