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恐竜とヒト

虫めがね vol.41 No.2 (2015)

恐竜は子ども達に大変人気がある。各地の恐竜博物館では、いつも興味深く見ている子ども達に出会う。恐竜は決して可愛い顔をしてはいない。むしろ獰猛な顔かたちをしている。子ども達のDNAには恐竜が恐いという感覚はインプットされていないのだろうか。恐竜が地球上に大繁栄したのは今から約二億一千万年前である。ちょうどその頃、我々ヒトの祖先である原始哺乳動物が誕生した。それは、子ネズミのような大きさで、昼間は穴の中に潜み、夜になると穴から出て昆虫や植物の種などを食べた。恐竜は主として草食動物であるので、この原始哺乳動物が恐竜に食べられることは無い。恐竜が活動している昼間は穴に潜んでいたので、恐竜から危険な目に合わされることは少なかったのだろう。従って、ヒトのDNAに恐竜が恐いという感覚はインプットされていないのだろう。

その大繁栄していた恐竜は、約六千五百万年前に、メキシコのユカタン半島に落下した巨大隕石によって絶滅したとされる。この時の巨大隕石は推定直径十㎞もあった。十㎞と言えば、東京駅から京浜東北線に乗って、大井町駅あたりが約十㎞になる。これほどの巨大隕石が地球に激突した結果、粉塵と煙が舞い上がり、大空を覆ったので、太陽光が遮られ、気温が寒冷化した。こうした「衝突の冬」は約五十年間続いたという。それで、恐竜たちの主食である裸子植物は育たなくなり食糧不足で死んでいった。体重が数トンもあるような巨大な恐竜もおり、この巨大な体を維持するだけの十分な食糧を得るのは難しかったわけだ。

我々の祖先である子ネズミ様の生き物は通常は穴の中で生活していたので、「衝突の冬」の間も寒さをしげた。また、体が小さかったので、小さな昆虫や植物の種などを食べて生き延びることが出来たのである。

ところで、約十三年前に、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は、直径一・一㎞ の小惑星が二八八〇年三月一六日に三百分の一の確率で地球に衝突する危険性があると発表した。二八八〇年であるから、筆者はこの世に居ないが、もしこの衝突が現実のものとなったら、人類はどのように対処するのであろうか。今、地球上では「イスラム国」とか言う過激派集団が現れてヒトの殺し合いをやっているが、人類は地球上で二次元世界だけを見て、自分の支配地域が増えた、減ったと争っていて良いのだろうか。三次元の世界があることを認識すべきではないだろうか。

(赤タイ)

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