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お爺ちゃん、お婆ちゃんは孫の世話がうれしい

虫めがね vol.44 No.4 (2018)

先のこのコラムで、お爺ちゃん、お婆ちゃんたちは孫が可愛い、かわいくて世話がうれしいということを書いた。これは人類(ホモ・サピエンス)が地球上に現れて約二十万年の歴史の中で、DNAに記録された遺伝情報であると言った。この遺伝子に支配されているお爺ちゃん、お婆ちゃんは、孫の世話がしたいのに近くには孫たちはいない。現代では、わが国の多くの若い世代は住み慣れた田舎から都会に出て仕事をしている。親たちとは離れて、別に家族を作って生活している。いわゆる核家族である。しかたなく、お爺ちゃん、お婆ちゃんは時々送られてくる孫たちの写真を見たり、孫の誕生日や七・五・三のお祝いや孫の運動会などの時に、はるばる孫に会いに行くことになる。

都会に出て働きながら子どもたちを育てている若い世代は、昼間は働きに出て、夕方、家に帰ると子どもたちの世話をする。当然のことながら、若い世代にとっては子どもを育てるということは初めての経験であり、どうして良いのか判らないことや、いろいろと心配なことが多くて、戸惑うことも多いだろう。子育て経験者のお爺ちゃん、お婆ちゃんに相談しようにも近くには居ない。かくして、若いお母さん方は、子どもの養育に悩むことになる。昼間の仕事に疲れて、家での養育に疲れてストレスになり、体調をくずすことになる。このストレスが外に向かい、幼児虐待、育児放棄などが時どき新聞の社会面に出てくる。筆者の子ども時代に比べると、その様なニュースが多い気がする。「赤ちゃんポスト」などという不思議な仕組みが熊本のある病院に設置されたとテレビで見たことがある。そして、このポストで救われた赤ちゃんが予想外に多いと言うことも知った。

若い世代が昼間働いている間、子どもたちを預かってくれる保育所・託児施設は慢性的に不足している。子どもを預かってくれる所を探している数万人の待機児童があるという。働く意思と能力があるのに、子どもを預かってくれる所が少ないので働けないお母さんがかなりある。一方で孫たちの世話が楽しいお爺ちゃん、お婆ちゃん世代があり、他方で、慣れない子育てに悩み、ストレスを感じ、援助を求めているお父さん、お母さんの若い世代がある。需要と供給はあるのに、両者をうまく結びつける仕組みがない。これをうまく結びつける社会システムは出来ないものだろうか。

♪孫走る爺も応援汗みどろ♪

(赤タイ)

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