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木材保存誌コラム
樹洞の住人、オオチャイロハナムグリ [木くい虫]
木くい虫 vol.38 No.5 (2012)
ハナムグリとは「花潜り」のなまった名前であり、その名のとおりハナムグリ類には花に潜る種が多い。実際クロハナムグリやコアオハナムグリ等は庭の花上でよく見かける。しかし全く花を訪れず、もっぱら樹液から栄養を摂取しているシラホシハナムグリ等の種もいる。前者のハナムグリは花蜜を好む「甘党」で、後者の種は糖が発酵したエチルアルコール(お酒)を好む「辛党」といったところであろうか。中には花も樹液も訪れるシロテンハナムグリのような「両党使い」もいる。ハナムグリ類は直接樹木を加害することはないが、幼虫が朽木や樹洞内のフレークを食べる種が多く、樹木と関係の深い昆虫である。
ノミとはどんな虫ですか? [虫めがね]
虫めがね vol.38 No.4 (2012)
ノミ・シラミ 馬の尿する枕元と江戸時代の俳聖松尾芭蕉が詠んでいる。このようにノミやシラミは人々の身ぢかで、生活の中にいる昆虫であった。私は終戦まもない頃に少年時代をすごしたが、夜、寝ていると、何となく脚のあたりがかゆくなったので、ふとんをパッとめくるとノミがピョンと飛び出てきた。急いでそれを捕まえて爪の上に置いてパチンとつぶすと、吸血していた血がジュとノミから出てくる。コヤツ俺の大切な血液を吸ったにっくき奴と、仇でも獲った気持ちになったものだ。
細長い昆虫、ルイスホソカタムシ [木くい虫]
木くい虫 vol.38 No.3 (2012)
ホソカタムシ(細堅虫)は細くて堅い昆虫という意味であるが、ホソカタムシの仲間が全て細長いというわけではない。しかし、ここに紹介するルイスホソカタムシ(写真)はまさに「細堅虫」であり、極端に細長く縦(体長)と横(体幅)の比が8.5倍程度もある。本種の名前はイギリスの昆虫学者ジョージ・ルイス氏に因んだものである。彼は19世紀に日本を訪れ多くの昆虫を採集し、標本を本国へ送っている。それらの標本を基に日本の昆虫が研究されたので、彼に因んだ名前の昆虫も多い。
蚊はなぜディートを忌避するのだろうか [虫めがね]
虫めがね vol.38 No.3 (2012)
夏になると昆虫類の活動が活発となり、虫に刺されることも多くなる。そんな時に忌避剤を買ってきて脚や腕にスプレーして、虫刺されを予防した経験をお持ちの方も多いでしょう。この忌避スプレーの有効成分がディートという化合物である。蚊がなぜディートを忌避するのかは、今のところ正確にはわかっていない。
ゴキブリはいますか? [虫めがね]
虫めがね vol.38 No.2 (2012)
「あなたの家にゴキブリはいますか?」フランスの友人、ムッシュ・ゴーシェから聞いた話であるが、フランスで家庭の主婦にこの質問をすると99%の主婦は次のように答える。「いいえ、うちにはいません!日頃から家の中はきれいに清掃していますのでね」