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東北の三夏祭り

虫めがね vol.42 No.6 (2016)

今年の二月にブラジルのリオのカーニバルを見たので、次は日本のカーニバル(夏祭り)を見たいと思っていた。ちょうど良いツアーを見つけたので、それに参加して、八月初めに八戸(青森県)の「三社大祭」と青森の「ねぶた祭」と秋田の「竿燈まつり」の三祭を見に行った。

八戸三社大祭は約三百年前に始まる南部地方最大級の夏祭りと言われる。おがみ神社、新羅神社、神明宮の三社へ豊作加護と報恩の為に始められたとある。二十数台の山車が運行される。お祭りとは言え、三神社に関わるので、どことなく静粛な雰囲気を感じた。

秋田の竿灯まつりは、江戸時代に豊作祈願として提灯をかざして町を練り歩いたことに始まると言われている。四十六個もの提灯を一本の竿に吊るした大きな竿燈を一人の若者が持ち上げる。この大きな竿燈を額や肩や腰に乗せながら、数々の技を披露し、町の中心部にある竿燈大通りを練り歩く。その姿は、ダイナミックな秋田男の男意気を感じる。

東北地方最大と言われる青森ねぶた祭は、江戸時代に始まる「七夕祭」に起源があると考えられている。「ねぶた」とは、「ねむり流す」(眠気を流す)という津軽ことばが転訛したと考えられている。ここに登場する大掛かりな「燈籠」は、色鮮やかで豪華絢爛そのものである。約二十三台の大型燈籠が市の中心通りを流れて行く。この後に、大勢の囃子と跳は ね人とが随って行く。跳人とは読んで字のごとく「ラッセラー・ラッセラー」の掛け声をかけながら、右脚と左脚で交互に飛び跳ねて歩く。陽気でエネルギッシュな祭りである。

これらの三つの祭りは三者三様に雰囲気や味わいなどに特徴があり、十分に楽しめた。これらの祭りに共通して言えることは、老いも若きも、男も女も、そして子どもたちも、地域庶民がみんなで楽しんでいるということ。祭りが始まった江戸時代から庶民の祭りであり、楽しみであったのだろう。それ故、これだけ長く伝統が保たれ、かつ大がかりな祭りが続いているのだろう。

私の個人的な感想としては、東北最大と言われる、陽気でややバカ騒ぎ気味の「ねぶた祭」よりも、男たちが真剣に妙技を競う「竿燈まつり」の方が感動した。

♪"ラッセラー"老いも若きも飛び跳ねる♪

(赤タイ)

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