木材保存誌コラム

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木材保存誌コラム

教授とその種類

みちくさ vol.46 No.5 (2020)

最近の話題の中心は何といっても新型コロナウイルス関連で、ここでもいろいろな専門家の方々がご意見を開陳されている。これらの中では出自や得体のよく分からない人も含めた各種ジャーナリスト・コメンテータの各種発言が飛び交っている。

このとき気になるのは、その専門家の役職と肩書。とくに「○○大学」とはあるが、いわゆる専任ではなさそうな「△△教授」というものが目立つ。

このうち「名誉教授」は国内法では大学等の高等教育機関に教授などとして勤務、功績のあった者に対して授与されるもので、法的・国際的に認められた学術称号の一つである。

そのほかの非常勤の教授では、これまで「客員」が多かった。ネット上でも「客員教授とはなんですか。給料はもらえますか。」といった質問が結構ある。

その回答は「待遇などは同じ。教職員ではないものの、その知見、見識、業績から教授活動を行うのに相応しいと大学が認める人物に、授業などをしてもらうためにいわば便宜的に与えられる地位。」

さらに、「他大学の常勤教授の人や特定の分野で活躍している有名人を大学に呼ぶ場合に、非常勤講師の肩書きでは失礼に当たる場合に使う。一方で、大学の宣伝のために有名人の名前を借りるのが目的の場合もよくある。」といったものもある。

似ているものに「特命」というのもあって「准教授では相手に失礼な場合(有名人など)に便利」とのこと。

これらに対し「特任教授」は少し違うようだ。これは「大学・研究機関で特定有期雇用教員について、便宜上『教授』の名を付したもので、外部研究資金によるプロジェクト等により、講座を開いたり学生の指導をしたりなど、特別の必要があるとき、期間を限って教員を特別任用することがある。各大学・研究機関は、このような任にあたる教員を雇い入れる制度をそれぞれ独自に設けている。」とある。

つまり、大学における「契約社員」で、「専任教員・非常勤講師」という伝統的な大学教員のカテゴリーに、新たに特任教員が加わり、「専任教員・特任教員・非常勤講師」という階層性が出来上がっただけとも見ることができる、という意見があった。

(徒然亭)

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今年の流行語大賞予想・3

みちくさ vol.46 No.4 (2020)

同じタイトルで2回続けた。いわば筆者の備忘録でもあるが、その後もいくつか候補が出てきている。「東京アラート」「ウイズ・コロナ/アフター・コロナ」「リモート会議」。まだまだある。

まず「自粛警察」。いわば「市民の相互監視状況」で、「太平洋戦争時に作られた『隣組』と共通するところがある」との一ノ瀬俊也・埼玉大学教授の記事がWEBに掲載されていた。その共通点とは「通報する人たちが『お国のため、全体のために』と考え、よかれと思ってやっているところ。人間の中に『人の役に立ちたい』『みんなに貢献したい』という欲求はいつの時代にも存在するが、ちょっとしたきっかけで、変な方向に暴走する。」とある。前に書いたインフォデミック的要素もありそうだ。

「巣篭り」。外出せず自分の住処に留まり続けること。もともとは鳥や虫の行動を指す表現で、俳句では春の季語であるが、最近では人が行楽や外食などを避けて自宅で余暇を過ごすことを指す表現としてもよく用いられる。今回の「不要不急の外出」の自粛時には「自宅での過ごし方をより充実したものにしたい」といった需要の高まりから、DIY関連企業の売り上げが増えたのだそうだ。また隠語大辞典によれば「普通忍び込み窃盗犯」―要するに空巣や強盗など―も意味するとのこと。

「アマビエ」。日本に伝わる妖怪。海中から光をかがやかせるなどの現象を起こし、豊作・疫病などに関する予言をしたとされる。今回、厚生労働省が作成した新型コロナウイルス感染症拡大阻止を呼び掛けるアイコンはアマビエをモチーフにしている。最初「アマエビ」と読んでしまった。

「スピード感/緊張感をもって...」(多分、これらは大賞にノミネートされることはないだろうが)。あるブログでは、「スピード感というのは本来感じるものであって、行動の有様を示す言葉ではない。何故、〈迅速に・・・.〉とか〈スピーディーに〉という行動表現をしないのだろうか?ひょっとしたら、〈感〉を付けることで、役人だけに通じる『外面的には迅速に、実際は程々に』というような暗号かも?とついつい勘繰りたくなる。」と。全く同感。

また後者については「緊張感のない人は仕事を覚えない、ミスを連発する」のだそうである。そんな人達が使いたがる言葉なのかもしれない。

(徒然亭)

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今年の流行語大賞予想・2

みちくさ vol.46 No.3 (2020)

前回、『今年の流行語大賞には「新型コロナウイルス」、あるいはそれに関連したものが多くノミネートされるに違いない。』と書き、『この騒ぎ、まだ続きそうな気配である。』と結んだ。

それから二ヶ月経過。この先どうなることやら、世界的にも第2波、第3波襲来との観測もあり、予測不能状態が続きそうである。

「コロナウイルス」の「コロナ」とはラテン語の光冠(丸い光の輪)の意味で、電子顕微鏡によるビリオン(感染性を有するウイルス粒子)の特徴的な外観に由来する。この分類に含まれるウイルスのうちヒトに対して病原性を有する「ヒトコロナウイルス」はアルファ型2種類、ベータ型4種類あり、今回出現したものはベータ型ではあるが、既知のものとは異なっている、という意味で「新型」と名付けられた、ということだそうだ。

前回、「パンデミック」「インフォデミック」「緊急事態宣言」「クルーズ船」「飛沫感染」「濃厚接触者」「マスク転売」「無観客試合」「テレワーク」と、今年の流行語大賞候補語を並べてみたが、その後にも候補になりそうな言葉がどんどん出ている。

曰く「クラスター」「医療崩壊」「N95マスク」「PCR検査」「3密」「ソーシャル・ディスタンス」「ステイ・ホーム」「エクモ」「アビガン」「レムデシビル」「コロナ倒産」「ロック・ダウン」「オーバー・シュート」「アベノマスク」「アベノコラボ」「GO-TOキャンペーン」「新しい生活様式」「出口戦略」などなど。

これらをみると結構カタカナが多い。英語由来の「クラスター」「ステイ・ホーム」「ソーシャル・ディスタンス」や「ロック・ダウン」も「LOCK(錠)」を下ろすことから「都市封鎖」の意味になることは、比較的容易に理解できる。しかし「オーバー・シュート」は「感染者の爆発的な拡大」を表す言葉としてはふさわしくなく、日本で暮らす外国人も「意味がわからん」のだそうである。

2つの「アベノ......」は印象には残るが、大賞候補としては品がない。また「GO-TOキャンペーン」「新しい生活様式」の提起は完全に発信時期がずれている。

やはり「3密」かな。ただ控えるべきは「密閉」「密集」「密接」が「オア」ではなく「アンド」状態であると思っている人が多いような気もする。

(徒然亭)

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今年の流行語大賞予想

みちくさ vol.46 No.2 (2020)

昨年の流行語大賞はラグビーのワールドカップに因んだ「ONE TEAM」だったが、今年は「新型コロナウイルス」、あるいはそれに関連したものが多くノミネートされるに違いない。

たとえば「パンデミック」と「インフォデミック」。

つい最近、WHOが「欧州が今やパンデミックの中心だ」と述べるに至ったそうだが、その拡散を上回る勢いでフェイクニュースが世界中で大量にばらまかれている。これを「インフォデミック(情報の感染爆発)」と呼ぶのだそうである。

その一つが今回のトイレットペーパー騒ぎ。これは今年の二月に「トイレットペーパーは中国で製造・輸入しているため、新型コロナウイルスの影響でこれから不足する」といった誤情報がSNSを通じて広まったのだそうだ。そしてその発信元探しとさらにそれに関する誤情報まで飛び交って、大変だったようである。

実は一九七三年のオイルショックの際にも物資不足が噂され、日本各地でその買い占め騒動が起こったことがある。その経緯はウィキペディアにも述べられているので、そちらを参照していただきたいが、このときは当時の通産大臣が「紙節約の呼びかけ」を発表したためであって、それが『紙が本当に無くなるかもしれない』という集団心理から、各地に噂が飛び火したということのようである。

あるコラムでは「物資の流通への誤解に基づく懸念があるにせよ、こういった状況のとき、なぜ日本人がトイレットペーパーにとりわけ執着するかは謎だ。」とあった。なるほどね。

そのほかでは「緊急事態宣言」「クルーズ船」「飛沫感染」「濃厚接触者」「マスク転売」「無観客試合」「テレワーク」などなど。

このうち「濃厚接触者」とは医学用語ではなく、定義は症例毎に厚労省が記述することがある、といったもののようだ。今回の場合「国立感染症研究所 感染症疫学センター」からその内容が公表されている。

また「無観客試合」では今、相撲がその状態になっている。呼び出し、行事の声、それに力士のぶつかり合いの音が、妙にリアルに聴こえる。野球も静かで試合に集中できて良い。

この騒ぎ、まだ続きそうな気配である。

(徒然亭)

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にわかラグビーファン

みちくさ vol.45 No.6 (2019)

今年の秋は、ラグビーのワールドカップの話題で持ちきりであった。TV生中継があったプールAの最終戦、日本対スコットランドの視聴率は今年放送された全番組の最高視聴率で、試合終了時には五三・七%(関東地区)もあったそうである。筆者はTV観戦のみであったものの、よく見ていて、次第に「にわかラグビーファン」の一人になってしまった。

まず驚いたのは、日本代表の約半数が日本人ではなかったことであるが、このことはさておくとして、はまってしまった理由の一つは、それまでよく分からなかったルールを、丁寧に教えてくれる番組がいくつかあったからである。たとえば点数の入り方や反則の種類―「ノックオン」「スローフォワード」「ノットリリースザボール」ほか―とそれによる試合再開の方法など、基本的なことを知るだけでも、少なくとも四十分以上、画面から目が離せなくなる。

日本代表の試合ではやはり対スコットランド戦と南アフリカ戦の印象が残り、後者は負けてしまったけれど、特に前半は「もしや」とのやや淡い期待もあって実に面白かった。

以来、野球やサッカーを見ていてもなんとなく緊迫感が弱いような感じがしてならない。

で、先般、年末恒例の「新語・流行語大賞」ノミネート三十語が発表された。それを眺めているとラグビーのワールドカップ関連のものがなんと五件もあるのに気付いた。「にわかファン」のほかには「ジャッカル」「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」「笑わない男」「ONE TEAM」。

その他では消費税引き上げ(「キャッシュレス/ポイント還元」「軽減税率」「〇〇ペイ」)、災害対応(「命を守る行動を」「計画運休」)に関するものそれぞれ複数。そして「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「ポエム/セクシー発言」「ホワイト国」「MGC」「免許返納」「闇営業」「令和」「れいわ新選組/れいわ旋風」あたりは筆者でも解るが、そうでもないものも多い。たとえば「あな番」「おむすびころりんクレーター」「サブスク」「上級国民」「タピる」「ドラクエウォーク」「翔んで埼玉」「肉肉しい」...。

ノミネート発表以降にもいくつか追加したいものもありそうだ。「合意なき決定」「身の丈にあわせて」などというのはいかが?

(徒然亭)

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