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今年の流行語大賞予想 [みちくさ]
みちくさ vol.46 No.2 (2020)
昨年の流行語大賞はラグビーのワールドカップに因んだ「ONE TEAM」だったが、今年は「新型コロナウイルス」、あるいはそれに関連したものが多くノミネートされるに違いない。 たとえば「パンデミック」と「インフォデミック」。 つい最近、WHOが「欧州が今やパンデミックの中心だ」と述べるに至ったそうだが、その拡散を上回る勢いでフェイクニュースが世界中で大量にばらまかれている。これを「インフォデミック(情...
千円札の野口英世博士 [虫めがね]
虫めがね vol.46 No.2 (2020)
日本を代表する医学者・細菌学者である野口英世は、わが国の千円紙幣に肖像が載っている。彼を主人公にした子ども向けの偉人伝が多数刊行されており、「偉人の代表」とも呼ぶべき存在だ。わたしが小学生の頃、学校の図書館には彼の肖像画が掲げてあったのを思い出す。 野口は明治九年、福島県の貧しい農家の長男として生まれた。一歳半の時に囲炉裏に落ちて左手指が癒着する大火傷を負った。これが原因で家業の農業を継ぐのを断念...
ドードー(dodo)の絶滅 [虫めがね]
虫めがね vol.46 No.1 (2020)
インド洋に浮かぶモーリシャス島と呼ばれる小さな孤島がある。面積は一八六五km2で、日本の淡路島の約三倍の大きさの火山島である。この島はアジアとアフリカを結ぶ主要航路から外れており、長い間無人島であった。この島にはトラやオオカミのような肉食獣は生息しておらず、島に生きる動物たちは極めて平穏に暮らしていた。この島で進化した固有の動物に珍しいドードー(dodo)という鳥がいた。七面鳥くらいの大きさで、空...
今年のお正月 [みちくさ]
みちくさ vol.46 No.1 (2020)
いわば「正月」の風物詩でもあった「男はつらいよ」が途絶えてから二十数年。その第五十作「お帰り寅さん」を見に行った。第一作の劇場公開は一九六九年八月だから、それから五十周年でもあるという。 シリーズ主演の渥美清さんが亡くなったのは九六年で、その翌年の正月、地元の新聞に「寅さん」のことを次のように書いていた。筆者、五十歳のときである。 ―(寅さんシリーズを)何時頃から見始めたのかはどうもよく思い出せな...
人間の叡智の限界 [虫めがね]
虫めがね vol.45 No.6 (2019)
「夢の溶媒」と言われたフロンは、その無毒、安定、不燃、高溶解能などの理想的な性質がある為に、冷媒、洗浄剤、発泡剤、スプレー剤、消火剤など広い範囲で多用された。二十世紀最大の発明の一つとまで言われていた。ところがその後、フロンは地球を覆っているオゾン層を破壊(環境破壊)することが判り、今では世界的に使用禁止となっている。 同じような運命をたどった物に有機塩素系殺虫剤DDTがある。DDTは人畜には急性...